煙草とカセットテープの離婚

遠くにある文字は小声で話しているわけではない

写真

ここにいるのはいい警官ばかりだよ、と警察署が云った。記憶が十字路をいくつも持っているので、そのどれが泣いてるのか本当は知らないのに、指さしたのは夏がまだ赤いところを照らしていた岬の反対側の写真で、きみが泥棒の格好で煙草をくわえる、足を組んでいるのに水音は踏まれるような間隔で遠くへいってしまった。蟻はみんな溺れてただの点に見えていたんだ。どこから文章が始まっても息は続かなくて、朝顔の絵はがき、縞模様を恋のあかしと信じるような古い感覚がきみにもあると、星と同時にあきれていたのかもしれない。公園の隅にさえさわらせてくれないのに、水鳥でいっぱいの助手席をたずねていくきっかけの道と花を、できれば今日中に、瞼のはじから読みとってくれないかな。