煙草とカセットテープの離婚

遠くにある文字は小声で話しているわけではない

いちごが潰れてから何日たったんだろう。古い電車に乗ってると、駅といえば馬の背中とか河川敷ばかりで、これじゃさすがに眠くなるよとあきれる。川は交互に左右から近づいてきたのに名前がなかった。だから右川、左川なんだねと知らない人が云いながら電車を降りていった。木枯らしがたのしいなんて誰から聞いたんだろう。でも電柱の上で風船が踊ってるのを見たら、写真に撮りたくなるし、黄色いし、あとで自分が始まったときの映像も流れるんでしょう? ずっと駅が続いたから、次は結婚式かもと友達が心配している。記憶がいちごのへたを上手に取り除いていくけど、味の保証はできないよと死んだおじいさんに云われたみたいだ。テーブルも皿も黄色い。