煙草とカセットテープの離婚

遠くにある文字は小声で話しているわけではない

十二月

あなたの反対側にも部屋があった。動物しかいない? 動物しかいない。壁にくっつけているところが黄色くなって、夜の窓みたいだと思ってから本を閉じたからね。読んだ人は誰も話さなかったけど、鳴き声の中に雪が降っているような生き物も、信じられてた。時代がそういうことを許す国っていうだけで、顔があんなに縞模様を右から左へ動かしていくのもよくなかったし、電池なら心をじゅうぶん死ぬまで支えるほどあるよ。目を閉じている人形が欲しかった。買えるだけの仕事は残ってる。十二月をさわってきた人に配られる、この薄青いお金を知ってしまう前に。