雲からなんでも取り戻せるよ、とギプスちゃんがいったことおぼえてる。ギプスちゃんは小学四年生、一年が二百年で計算すると地球なら八百年生。音速で来たことがある夏ならだいたい知ってるって。入道雲に写真を貼って「これがママだよ」って貝殻にいわせてたあの午後のことも、知ってる。この砂浜はだれの聖域なんだろう。しずかに燃えさかるストローのほうから謝ってきたって、得意げに目をつぶる女の子向けヒーローの中身は針金ハンガー。男の子向けヒーローの足の裏はなべの蓋だから、いいからこっちに出ておいで、からっぽのジャム瓶の匂いがした。みんな電飾とまちがえられてただけなんだ。