2018-12-09 理想 今のが流れ星なら、わたしにも同じような星があるから夜空に続いて明けていかなければならないね。流れ星の傘をさして新宿に出てきた男の子。その理想的な髪の黒さをあきらめて音楽のほうからうなずきかけているのを、れんげとさくらがあんなに咲かずに待っている時計のたった一か所にある出口で、らくをして金が稼ぎたいんだよと微笑みながら溶けていったおじいさんが、その孫娘の後ろ姿にあらわれるとき、夜通しざりがにのはさみだったこの色は西から誘われて解散していった。原稿をひとつも残さないで。